- 第1回「見えない課題」を印刷で解決する ~ソーシャルな視点で新たな付加価値を!~
- 2020年09月16日
渉外特別委員会では令和二年九月十六日(水)、『「見えない課題」を印刷で解決する』第1回講座を開催した。コロナ禍の中で行われる今年度初の大印工セミナーであり、厚労省所管の「ポリテクセンター関西」が支援する生産性向上支援訓練事業でもある。
全3回にわたって行われるこのセミナーは、MUDノウハウの取得を題材に、クライアントや社会に潜在する課題を発見する能力を身につけ、提案型営業を実践できる人材育成の一助とすることが目標である。
渉外特別委員会 髙本隆彦委員長の司会で家田裕光担当副理事長の挨拶の後、NPO法人チュラキューブ代表 中川悠(はるか)氏をコーディネーターに迎えての実践講座に入った。
まずは中川氏からの話題提供から。大阪市内で消滅の危機にある「都会の農家・花農家」が生き残るための新しいビジネスの創出、障がい者が運営する地域のお年寄りのための「地域食堂」など、農業/伝統工芸/障がい者/高齢者など、困りごとを抱える人々を結びつけ、あらゆる角度・コミュニティからの“かけ算”を作っていくソーシャルデザイン事例をお話しいただいた。
その後、NPO法人ユニバーサルデザイン協会理事 山本順也氏からの「メディアユニバーサルデザイン(MUD)」の概要説明。今や生活のあらゆる商品や施設に応用され、3兆円規模にも届かんとするユニバーサルデザインの現状を事例を交えて紹介。あらゆる立場に関係なく“情報を平等に正しく提供する”というメディアユニバーサルデザインの理念をご説明いただいた。
二つの話題提起の後、参加者は4つのグループに分かれ、ワークショップを実践していくこととなる。
まず、先頃PB商品を斬新なデザインに刷新した大手コンビニチェーンの新パッケージについて、参加者それぞれが直感的に感じる良い点・悪い点を、さらにMUD的に成功している点・失敗している点を話しあうことで、MUD的視点(視覚障がい、色覚障がい、子どもや高齢者への配慮)を学んだ。
最後に、メディアユニバーサルデザイン協会主催の「メディア・ユニバーサルコンペティション」に、グループで成果物を出品するという、大きなミッションが発表された。
これにあわせ、第2回では優秀賞常連の企業、大阪シーリング印刷の講演を予告。宿題としてSDGs(=国連が2030年までに持続可能な世界の構築を目指すための指標。)17の目標から3つをテーマに選ぶことが、それぞれのグループに課された。
次回講座までに話し合いの場を設けることも課題とされ、LINEやZOOM等での連絡方法をとり決めるなど、グループのコミュニケーションは大いに深まったようだ。
業界を超え、これまでにないソーシャルな視点から、どのような困りごと解決の方法が見つかるのか――参加者の出す「答え」に期待したい。